グローバルマクロ投資にうってつけの日

株、債券、金利、通貨、コモディティに関する投資メモ

近況のメモ

書くことはないが、トレードが素晴らしくうまくいっている。

原油のショートで利益を出した(半分は決済した)。ドル売り円買いの大きなポジションで利益を出した(25%は決済した)。豪ドル売り円買いでも利益を出した(決済していない)。損をしているのは、忘れないためのポジションのはずがつい忘れそうになる東芝の売りぐらいのものだ。

Fed金利をどうするつもりなのだろうかと、時々考えるが分からない。金がまた1,300ドル付近まで上昇している。

投資ポジションのメモ

ポンドの買いを決済した。私の思惑とは異なるが、すごい上昇だった(というかまだ上昇は続いている)。

円のロングと米国株のショートも少し前に決済している。こちらは損がでた。米国経済の先行きにはかなりの不安があると思うのだが、価格が逆に行くのならあきらめるよりしかたがない。次のタイミングを待つことにする。

 

これでギリシャ株しかポジションがなくなってしまった。かれこれ2年近く保有しているように記憶しているが、まだまだ持つつもりだ。スプレッドが巨大なので(日経平均でいうと300円分ぐらいだったと思う)気軽に出入りもできない。今のところ30%超の利益になっている。

 

通貨のポジションがないと一層マーケットに注意を払えなくなるので、豪ドルをショートした。

jp.reuters.com

オーストラリアの政治がどうなっているのか知らないが(というよりどこの国の政治も分からないが)、何がしたいのか分からない。

 

今のポジションはギリシャ株のロングと豪ドルのショートとなっている。

東芝の混迷、20万円のチケット

東芝について書いてから、2月以上が経過した。

guiterpopinv.hatenablog.com

 

東芝監査法人の変更を検討しているという。

jp.reuters.com

タイトルの通りで、確かになんとも見苦しい限りである。こんなにひどい話は聞いたことが無い。

しかし、どうして東芝監査法人を変更しなければならないのか?それは、半導体事業の売却が想定通り2兆円前後で行われたとしても、監査がそれなりに厳密に行われてしまうのであれば債務超過を免れない可能性が高いからではないのか。そうでなければ、どうしてこんなに目立つタイミングでこんなことを検討しなければならないのだろう?

恥も外聞も捨てて、東芝は公然と会計操作を行おうとしているのだ。そこまでするからには、おそらくは存続を賭けてのことであるはずだ。そうでなければ割に合わない。

しかしながら、変更先の監査法人は見つからないのではないかとも思う。たった1社の監査実績のために、PwCと対立する意見を表明して割に合うと考える監査法人がいるのだろうか?いないのではないか。幸運なことに変更先を見つけることができたとしても、双方の顔を立てるために中間的な(PwCあらたよりも甘く、東芝の希望するものよりも厳しい)意見を表明するのがせいぜいである。そもそも、中堅の監査法人は大法人かつ米国会計基準という難題に短期間で対応できるのだろうか。できそうにない。

種々の状況を考慮すると、横ばいを維持する株価とは裏腹に、東芝の内情はかなり厳しい状況にあるのではないか?そうであるならば、少なくとも最低限の参加料(約200円×1千株)を支払って、この祭りに参加してもよいのではないか?それなりに楽しめるし、勝算もなくはないのではないか。

つまり、明日の始値×1千株が私の参加料ということになる。ここから1,000%超の上昇を被っても2017年の損益はプラス圏を楽に保っているし、注意力と引き換えに支払う対価としては安いものである。

金利市場 対 株式市場

債券市場が予測する将来のインフレ率(金利から逆算した期待インフレ率)が低下している。

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期待インフレ率の低下は、ネガティブな経済の見通しの表れである。

 

一方で、株式市場は高値圏にある。

高い株価は、ポジティブな経済の見通しを反映している。

つまり、債券市場の見通しと株式市場の見通しとは相反している。

どちらを持ちたいかといえば、ひとまず債券市場の見通しに一票を投じたいので、米国株をショートして、高値圏を上に破ればすぐに損切りをする。

 

今のポジションは、ギリシャ株のロング、米国株のショート、ドル円のショート、ポンド円のロングとなっている。

金価格が1,300ドルに迫っている。

 

追記:

投稿した途端に、何故こんな簡単なことが分からなかったのだろうという気持ちになった。今は明らかに株を売るべき時である。ポジションを追加するべきだ。下落する可能性は高く、損切りするポイントも明確だ。今売らないでいつ売るというのだろう?

マクロ分析の道しるべ④ GDPの使い方2

前回はトランプ氏の経済政策をGDPの定義式にあてはめて分析した。

今回は消費税増税GDPに与える影響について分析する。

新聞を読んでいると、「消費税増税は日本の財政健全化につながり、経済と株価にとってプラスの影響がある」という論説を見かけたとしよう。前回の増税時には実際に何度か見かけた。これが正しいかどうか判断してみよう。

まずはGDPの定義式。

GDP

= 個人消費 + 企業投資 + 政府支出 + 純輸出

=(GDP - 税金 - 貯蓄)+ 企業投資 +(税金 + 財政赤字)+ (輸出 - 輸入)

 

前回と同じく、これを転じて以下のように考える。

将来のGDP

=(既に受け取った今のGDP - 税金 - 貯蓄)+ 企業投資 +(税金 + 財政赤字)+ (輸出 - 輸入)

 

財政健全化を目的とした消費税の増税は、式の各要素にどんな影響を与えるだろうか?恐らく次のようになるはずである。

将来のGDP

=(既に受け取った今のGDP - 税金↑↑ - 貯蓄↓)+ 企業投資 +(税金↑↑ + 財政赤字↓↓)+ (輸出 - 輸入)

 

コンポーネント別に説明する。

まず個人消費はどうなるか?増税するので税金は上がり、税金が上がると受取ったGDPのうち使える金額(どうでもいいけど可処分所得という)が減ってしまう。使えるお金が減った結果、貯蓄できる金額が部分的に減る。あくまで部分的に。年間500万円増税されて500万円消費を減らすのならば、貯蓄に回るお金は増税がなかった場合と比べて減らない。でも、そんな人はまずいないからである。

したがって、個人消費増税額未満の金額が減少する。

 個人消費↓ = 今のGDP - 税金↑↑ - 貯蓄↓

 

次に政府支出はどうなるか?増税によって税収は増える。そして、その増税は財政の健全化を目的としているため、増税額と同額の財政赤字が減少する。つまり、政府支出は変わらない。

 政府支出→ = 税金↑↑ + 財政赤字↓↓

 

企業投資と輸出入に影響はないとすると(ちょっとはあるけど)、GDPは次のように変化すると予測できる。

 将来のGDP↓ = 個人消費↓ + 企業投資 + 政府支出→ + 純輸出

 

将来のGDPが減少するから、増税は経済と株価に悪影響を与える。マクロ経済学と常識と経験を組み合わせて書くならば、増税が経済にプラスに影響するのは、ギリシャのように財政問題が表面化してしまった一定の状況だけである。

新聞には、嘘みたいな頻度で誤ったことが書かれている。

 

さて、GDPを道具として使いこなすことができれば、マクロ分析のかなりの部分をマスターしたことになる。こんな単純なものが何の役に立つのかと思うかもしれないが、名だたるマクロ系投資家たちがやっていることは、信じられないかもしれないがこの分析と全然変わらない。というのも、彼らが使っている道具がこれなのだ。

定義式をさらに発展させるので、つづく。

マクロ分析の道しるべ③ GDPの使い方

GDPの定義式は以下のようになっていることを紹介した。

GDP

= 個人消費 + 企業投資 + 政府支出 + 純輸出

=(GDP - 税金 - 貯蓄)+ 企業投資 +(税金 + 財政赤字)+ (輸出 - 輸入)

 

諸事情によりさらに定義式を書き換える(ほんとうは状態を表す定義式に時間経過のような概念はないけど)。

将来のGDP

=(既に受け取った今のGDP - 税金 - 貯蓄)+ 企業投資 +(税金 + 財政赤字)+ (輸出 - 輸入)

 

今回は実際にこれを道具として使ってみる。米国大統領選をテストケースとしてあてはめてみよう。

 

トランプ大統領候補の政策は、単純化して以下の通りとする。

① 減税をする

公共投資をする(壁を作る)

③ 輸入を減らす(関税をかける)

 

もしトランプ大統領が当選したならば、トランプ大統領の政策はGDPの構成要素に以下のような影響を与えると予測できる。

将来のGDP

=(今のGDP - 税金↓↓ - 貯蓄↑)+ 企業投資 +(税金↓↓ + 財政赤字↑↑↑)+ (輸出 - 輸入↓)

 

矢印が政策によって受ける影響である。順番に説明する。

① 減税をすると、個人消費のマイナス要因である税金が減少する。税金が減って生じる金銭的な余裕(可処分所得というが、それはどうでもいい)の一部は消費に回り、一部は貯蓄に回ることになる。つまり、減税された分の何割か(この割合のことを消費性向というが、これも別にどうでもいい)は個人消費を増加させる。

公共投資をすると、政府支出は増加する。余談だが、減税したので歳入は減るが公共投資で政府支出は増えるので、財政赤字はかなり拡大することになる。

③ 輸入が減ると、輸出マイナス輸入である純輸出は増加する

したがって、個人消費と政府支出と純輸出が増加することになり、GDPも増加すると予測されることになる。

 

将来のGDP↑↑↑ =  個人消費↑ + 企業投資→ + 政府支出↑ + 純輸出↑

 

そして、実際もこの通りのことが起こったわけである。

世間の雰囲気に惑わされず、たったのこれだけのことを自分で考えさえすれば、経済の専門家のほとんど全員を上回る分析ができていたことになる。これが投資の道具としてのGDPの使い方である(すごい!)。

次回は別のケースを試してみる。つづく。