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グローバルマクロ投資にうってつけの日

株、債券、金利、通貨、コモディティに関する投資メモ

日本と米国と金の見通し

今のところ前回の見通しは概ね当たっている。前回の予測を要約する。
・日銀は物価と景気を上昇させる手段を使い果たした
・アメリカの経済は弱いか、少なくとも利上げを継続できるほど強くない
・アメリカのインフレ率は上昇しており、これを多くのマーケットは織り込んでいない

 一方で私の投資成績としては、概ね横ばいで損益なし、と言った程度である。ドル円の買いでは利益を上げた。しかし、これは行き過ぎた円高を咎めるための短期トレードであるから、マクロ分析とは関係がない。ダウ平均の売りではそれなりの損をしている。金の買いでは利益を減らしている。勘定はしないが、結果として全体では若干の損をしているはずだ。

比較的正しい投資判断をしていたにもかかわらず利益が出ないということは、マクロ分析に基づいて必然的に決まる「すべきこと」と、「したこと」とが違ってしまった、ということだろう。

また、前回は私のポジションについては何も書かなかった。見通しだけを述べてポジションを持たないのでは、まるでアナリストだ。

こうしたことを素直に反省して、今後は経済の見通しと併せて投資ポジションについても述べたうえ、見通しとポジションとに矛盾がないことを確認することとしよう。

| 現在のポジション

前回の時点で私が取っていたポジションは、円建て金の買い、ドル建て金の買いだった。ほんの僅かな日本株の買いポジションもあるが、これは少額であるしどうでもよい。要は金しか買っていない。書いた直後にはダウ平均の売りとドル円の買いを追加している。

| 予測とポジションの比較

前回の最も重要な(あるいは最もオリジナリティのある)予測は、米国ではインフレ率が上昇しているが、これをマーケットはまだ織り込んでいない、というものであった。

インフレ率の上昇がマーケットに織り込まれた場合、主要な投資対象に次の直接的な影響がある。

① ドルの価値 ≒ 実質金利 = 名目金利 - インフレ率↑ →ドル安
② インフレ抑制のための利上可能性↑ → FF金利先物上昇
③ 株価 → 比例関係 ← 名目GDP = 実質GDP + インフレ率↑ →株高
④ 金価格:ドル価値に反比例≒米国のインフレ率に比例→金価格上昇
⑤ 原油価格:モノの価格はドルの価値に反比例 → 原油上昇
(もっとも、原油は実際に需要される商品だから、金とは違って実需と供給で価格の大半は決まる。)

さて、前回の投資判断が正しかったとした場合、私のダウ平均の売りは正当化されるだろうか。

インフレは株価を押し上げる。インフレは宿命的に、あるいはその定義から、名目GDPを上昇させる。そして、名目GDPと株価とは比例関係にあるから、インフレ期待が織り込まれていない時点でダウ平均を売ったのは完全に失敗だった。

私は自らの見通しに反する投資行動をしたわけだ。なるほど、損をして当然である。

| 投資方針

過去の反省はここまでにして、将来について考えよう。

・ダウの売り

損を抱えているダウ平均の売りについては、損を確定させるポイントを明確にした上で継続する。インフレが織り込まれる前にポジションを取ったのは失敗だったが、インフレが加速している証拠は今のところない。だから、今のインフレが織り込まれたとするのならば、後は下落するだけである。米経済は弱く、利上げ観測は高まっている。どちらも名目GDPの減少要因であり、株安要因である。

その予測が外れたと判断されるのはどの時点か?それが損を確定させるべきポイントである。具体的には、ダウ平均が18,400ポイントを上回った時点で損を確定させる。

売りに入ったポイントは17,550ポイント付近であるからそれなりの損失になるが、私がいくら損するかを気にかけて株価が決まるわけではない。だから、私の個人的な損失額を基準に損を確定させるわけにはいかない。

私の見通しが正しければ18,400ポイントまで株価が上昇することはないはずだから、そうなった時点で失敗を認めて損を受け入れることにしよう。それが受け入れられないほどの損失であれば、ポジションを取った時点で投資は失敗していたということだが、損失額は受け入れることができる範囲にある。

・金 

金についてもこのあたりでひとまずの出口を決めておく。

金が2年以内に2,000ドルを超えることについてはいまだに自信があるが、思ったよりは紆余曲折がありそうだ。1,220ドルを下回ったら全ポジションを切ってわずかばかりの利益を確定させるか、1,050ドルまで価格が落ちたとしても安全に投資を継続できる程度に今すぐポジションサイズを削るかの二択である。

私は前者を選ぶ。大きなチャンスに小さな投資額で乗る気分には今のところなれない。

・通貨

108円付近で取ったドル円の買いポジションは、4月21日から段階的に決済し、26日にピッチを上げて全ポジションを利益確定させた。

当初は110円~115円の短期的な反発を狙ったトレードだったから、やや早すぎるとはいえ予定の範囲内だ。なにより、マクロ分析に反するポジションを持つのは、いつだって居心地が悪い。

これで通貨についてはポジションを完全に清算した。

 

| 新規ポジションの検討

今のポジションについては検討が済んだ。新しいポジションはどのような方針で取るべきだろうか。

私が中長期的な見通しとして過去数ヶ月間に考えてきたことと、今考えていることは変わってはいない。円高ドル安、ダウ平均↓、日経平均↓、金↑である。これにもとづいて中短期的にどのようなポジションを取るべきだろうか。

・通貨

通貨についてはしばらく様子見して、115円/ドルを超えるようなことがあればドル売りのタイミングを図ることにしよう。最低限の反発は既に終えているし、前回も述べたとおり基本的にドル安トレンドは継続すると踏んでいる。

日本株、日本円

日本についてはどうか。景気を良くする手段がない以上、日経平均が上がるとすれば日銀の買い以外にない。一方、日銀が株式の買入額を増やしたとしても、物価にも景気にも影響はない。したがって、緩和があったとしても円高ドル安の中長期トレンドに影響はなく、かつ、株高、という珍しい状況になる。

もちろん、日銀が追加緩和をしなければ、通常通り円高株安である。
だとすれば、日本経済に悲観的であるからといって、日経平均を売るのは得策でない。景気が悪くとも、日銀の行動次第で株価は上昇するからだ。中央銀行に売り向かって勝った投資家など聞いたことがない。 

緩和があってもなくても円が上昇するのであれば、なぜ円を買わずに様子見するのか。

一つは、当初考えていたとおり円高の短期的な反発が最大で115円程度まで進む可能性があること。もう一つは、追加緩和が決まれば、条件反射的にドル円相場は上昇するからだ。であればその反射的な上昇を売ればよいのであって、今すぐに売る必要はない。

今すぐにポジションを取るのであれば、ドル建てで日経平均を買う、という手段が良さそうだ。これについては後日もう少し時間をかけて考えてみよう。いずれにしても、株も通貨も今は忍耐強く様子を見ることにする。

・原油

原油相場の意味不明な上昇については、何かポジションを取るべきだろうか。

私は原油相場の本当の上昇は、一旦は20ドル付近まで落ちた後に起こると考えてきた。シェール企業の粗利益がマイナスになり、赤字操業よりも倒産を選択し始めるのは、シェールガスを原油に換算した場合の限界採掘コストである25~35ドルを下回ってからだと考えたからだ。今のところ原油価格は操業停止点よりも高く、シェール企業は倒産せず、したがってシェールガスの供給量も減ってはいない。
おまけに、産油国は増産の停止を拒んでいる。増産の停止を拒む経済主体は何を考えているか?もちろん増産である。供給量は増えるか、少なくとも減らない。
価格を下落から回復させるものは価格の下落だけであり、ファンダメンタルズ的には買える状況にない。それでも価格は上昇している。意味がわからない。どうすべきか?

分からなければ何もしなければよい。投資に関して見逃し三振はない。

ギリシャ

もう一つ、是非とも考えたいのが、ギリシャ株への投資である。

ポイントは2つある。ひとつ目は、ドイツ人もようやく自分たちの行動が経済の論理に矛盾する事に気がついてきたことだ。強烈な通貨安がなければギリシャは借金を返せないし、ドイツ人とギリシャ人が共通の通貨を用いている限りは、強烈な通貨安とはならない。GDPの定義を理解している者であれば、簡単にわかることだ。

ユーロという幻想を継続させたいのであれば、ギリシャ人の節約による借金返済、という幻想は諦めるよりない。

ふたつ目は、ギリシャ株に投資したがっている人間に、この5年ほどお目にかかったことがないことだ。私は読まないので知らないが、そのような日本経済新聞の記事はあっただろうか?有名アナリストの耳寄り情報はあっただろうか?確信があるから何を賭けても構わないが、ないに決まっている。

ギリシャファンダメンタルズは上向きに変化しているが、誰も見向きもしない。投資すべき時というのはこういう時である。

時間さえあれば十分に調べてから投資したいものだが、あいにく私は今後数ヶ月は十分な時間を取れない。そもそも、個人投資家でもギリシャの株式市場にアクセスできるのだろうか?それさえ分からない。

ギリシャが苦難の道を歩み投資家から見向きもされなかったこの5年間、私は私でほとんど勘だけでうまく投資してきた。良きにせよ悪しきにせよ、私は勘で投資することが得意になってしまったのだから、今回もうまくやれるだろう。