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グローバルマクロ投資にうってつけの日

株、債券、金利、通貨、コモディティに関する投資メモ

金(ゴールド)に投資する場合の基本的な考え方

金に投資する場合の基本的な考え方をまとめた。

|"通貨でない通貨"としての金

金はコモディティの一つであるが、他のコモディティとは決定的に違う性質を持つ。

経済が上昇する場合、需要の増加を通じてコモディティ全般の価格は上昇する。

景気↑ → 需要↑ → コモディティ価格↑

経済の上昇がコモディティ価格の上昇を生むためには、景気の上昇が需要の増加に結びつかなければならない。景気が上向けば商品需要が増えるというのはあたり前のことであるが、そうでないコモディティもある。金である。

金は消費財としてではなく、その殆どが投資対象として需要される。つまり、通貨(ドル)でない価値の保存手段として需要される側面が極めて強い、ということである。

したがって、金の価格を上昇させるものは好景気による消費需要の増加というよりも、通貨価値の低下である。

|通貨の価値

金と通貨の価値とが反比例するのであれば、通貨の価値はどのように決まるのか?最も大きな要素は金利と物価である。

※学問的には決定的な為替レート決定理論が未だ与えられていないことを一応付け加える。そんなものは永久に与えられやしないだろうけれど。

通貨の価値 = 名目金利 - インフレ率

金はインフレに強い、と言われる理由はここにある。インフレーションとは物価の上昇のことであるが、「物価の上昇」とは何に対して価値が上昇することを意味するのか?もちろん通貨の(名目的な)価値である。だから、物価の上昇と通貨価値の低下とは同義語である。そして、通貨の価値が低下すれば、相対的に金の価値は増加する。

ただし、上記の式を見れば分かる通り、インフレーションの度合いだけで通貨の価値は決まらない。たとえば、インフレ率が10%というのはなかなかの数値であるが、金利が30%ならば、その通貨を保有することで実質年20%で運用でき、その通貨の価値は上がるだろう。 あくまで通貨の価値は金利とインフレ率のギャップで決まる。

以上を図示すると以下のようになる。

  金 利

   ||

通貨の価値  ↔  金の価値

  ↑↓

 インフレ率 

 |大して重要でないサプライサイド

以上は金の需要側の話だが、供給側はどうだろうか。

コモディティに投資する以上は供給側にも注意が必要だが、金の供給国は政治経済的に安定しているし、農産物のように天候にも左右されない。だから、急に供給量が減ってしまうということもない。

ベースマネーのように供給量が急に増えることもない。印刷機を設置して紙幣を印刷するのは簡単だが、新しく鉱山を開発するには多くの時間が必要であり、価格の上昇に反応して新しく鉱山が開発された頃には、大抵価格はピークを過ぎている。

供給に関しては限界的な製造コストと価格との関係にだけ注意すれば十分ではないか、というのが正直なところである。 

|おわりに

金は真面目な投資家と不真面目な投資家とを隔てる分水嶺だと思っている。真面目な投資家は金の価格を把握しており、不真面目な投資家は把握していない。多分、不真面目な投資家はどうやって1年で10万円を1億円に増やすかということに夢中で、金利や物価のことについては考えたくないのだろう。

また、マクロ分析の基礎が出来上がっているのであれば、これほど読みやすい投資対象はない。中長期的な金利と物価の動向に注意しさえすれば利益をあげられるか、少なくともひどい目には合わない。

コモディティ全般に言えることだが、株式などに比べて強く長いトレンドが生じやすいことも手がけやすい点である。

既にFX等で通貨に投資しているのであれば、金を新しく投資対象に加えるのは簡単である。金利とインフレ率がゼロの国の通貨だと思えば、だいたい間違いがない。

株式投資しか行っていない投資家にも、金投資をすすめたい。金投資のすぐ先には金利と物価があり、金利と物価のさらに先には、全ての国の全ての投資対象が広がっている。世界で一番複雑で解き甲斐のある、楽しいパズルゲームが待っている。

グローバルマクロ投資の入り口として、金は最適である。