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グローバルマクロ投資にうってつけの日

株、債券、金利、通貨、コモディティに関する投資メモ

粘り腰の米国経済

米国の3QGDP速報値が発表された。これで12月利上げは確定的となったと思う。

jp.reuters.com

名目で年率2.9%と個人的には驚くほど高い数値であったが、金価格は10ポイント以上上昇している。好調な経済は利上げを促し、利上げは金価格にとってネガティブであるから、これでは筋が通らない。すぐに思いつく可能性は2通りだ。

 

①半月前の金価格の下落は、利上げ観測の高まりをオーバーシュート気味に先取りしたものであった(金価格1,350ドル→1,250ドル)。好調な経済指標が発表されたことにより予測が事実となり、オーバーシュート部分が巻き戻された(金価格1,250ドル→1,275ドル)。つまり、利上げ観測はネットで金価格の1,350ドル→1,275ドルという低下をもたらした。

GDPの高い成長は、数値こそ立派なものの内容はそれほど楽観できるものではなかった。

 

私はGDPの予測が的確にできるほどマーケットの予測力が高いとは思わないので、基本的には②をとりたい。

今回の好調の理由は輸出と企業投資であるので、それぞれが伸びた理由を考える必要がある。

 

|輸出、通貨、原油

過去1年でドルが最も安かったのは、2016年の4-6月頃であった。

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通貨安は輸出の増加をもたらすが、通貨安が直ちに輸出増加をもたらすわけではなく、Jカーブ効果と呼ばれる数カ月のタイムラグが生じる。タイムラグを3ヶ月とした場合、2Qに生じた通貨安は3Qの輸出増加をもたらすことになり、今回発表された3QGDPの輸出増と整合的である。

同じように考えた場合、7-9月の通貨水準が4QのGDPに影響し、10-12月の通貨水準が2017年のGDPに影響することになる。そして、ドルの価値は目下上昇中である。つまり、今後2四半期分のGDPについて、好調な輸出は期待できないはずである。

もっとも、原油については2016年に入ってから上昇傾向にあり、現在も高止まりしている。

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原油価格がさらに上昇するのであれば、輸出国である米国のGDPにとってプラスであるが、高止まりのままであればマイナス要因となる。

 

|企業投資

GDPが好調であったもう一つの理由は、企業投資の増加である。こちらは、在庫の積み増し分の寄与が大きく、在庫の積み増しは将来の個人消費の先食いである。在庫水準が適正な範囲内にあるのであれば問題はないが、将来の好調を予期させるものでないのは確かだ。

また、なぜだかあまり一般的に認識されていないようだが、企業投資は個人消費の遅行指標であり、個人消費が回復し始める時期が企業投資が最も落ち込む時期となる。企業は個人に販売するために事業活動を行っている点を考えれば当然のことである。

したがって、個人消費の回復が確認できない限りは企業投資には期待できず、当面は経済の足を引っ張ることになるはずである。

 

|金の買い場を探る

ロイターの記事が冒頭で軽く言及しているように、先行きの明るい内容ではなかった。それでも利上げは実施されるであろうし、利上げされるのであれば(どこまでが現在の価格に織り込まれているかにもよるが)金価格にはネガティブである。しかし、今後の経済の見通しが暗いのであれば、さらなる利上げはできないし、利上げができない状況が利下げを検討する状況に変わるのはそう遠くないことである。

そして、利上げができない状況が利下げを検討する状況に変わる直前の瞬間が、金の最大の買い場となる。向こう数ヶ月は金を買い増す機会を探ることにしよう。