グローバルマクロ投資にうってつけの日

株、債券、金利、通貨、コモディティに関する投資メモ

ドラッケンミラーの凄さ、もはや人間ではないジョージ・ソロス

ドラッケンミラー氏の凄さを実感したので何かを書き残したい。

私はジョージ・ソロスのような投資をしてみたいと常々思ってきたので、彼の「後継者」であったドラッケンミラー氏についても凄腕の(考えようによってはソロス氏を超えるほど凄腕の)人物であると思っていた。しかし、ソロス氏にしてもドラッケンミラー氏にしても、私の知っている伝説的な投資というのは、書籍で読み知ったものでしかなかった。

今回は初めて同時代的にその凄さを体験できた。良い経験になった。

ブルームバーグに次の記事が掲載されていた。

www.bloomberg.co.jp

これは本当に見事な判断力であると思う。正確にしてあまりにも早い。

マクロ系ファンドマネージャーの多くが、いわゆる趨勢的停滞論(長期停滞論)に沿った投資を行っていることについては聞き覚えがあった。積み上がった債務と需要不足により、景気が恒常的に下落するという説である。そして、下落する景気に応じて金融緩和策が採られれば、マネーの価値も低下することになる。マネーの価値が低下すれば、相対的に金の価値は上昇する。

ドラッケンミラー氏が金をロングしていたとは知らなかったが、金を買っていたということは、ドラッケンミラー氏も多くのファンドマネージャーと同様の見解であったのだと推察する。

ちなみに私は停滞論については半信半疑だ。需要不足の原因が、人口の低下とテクノロジーの進歩による物価の低下圧力であるというのでは、説得力に欠けると感じていたからだ。アメリカの人口は減少してはいないし、人類が石槍を片手にマンモスを追いかける生活に戻った方が世の中が良くなるとも思えない。産業革命時には、(金本位制の有無という大きな違いはあれど)物価の低下と景気の上昇は同時に観測されていた。

もしトランプ氏が当選していなかったら世の中が長期的な停滞に陥っていたのかどうかに興味はあるが、それはそれとして問題は、ドラッケンミラー氏がおそらく停滞論を信じていたという点である。

停滞論を信じていなかった私が金に対する楽観的な見通しを転じるのに丸1日以上を要したのに対し、停滞論を信じていたドラッケンミラー氏が見通しを転じたのは恐らく金の値動きが転じて数時間、あるいは転じてからすぐ、もしかすると値動きが転じる前であった、ということになる。これは本当に凄いことである。とても及ばない。

とはいえ、最終的には私も同じ判断に至ったのだ。僅かな差が致命的な差になるにしても(打率二割七分のバッターと三割二分のバッターの僅かで致命的な差と同じことだ)、今回はその点については良しとしたい。

と思っていたところだったが、次の記事を発見した。

www.bloomberg.co.jp

率直に言って、予言者レベルの手腕である。ウィザードなどという言葉では全然足りない。凄いの一言である。やはりソロスは凄い。