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グローバルマクロ投資にうってつけの日

株、債券、金利、通貨、コモディティに関する投資メモ

マーケットの二匹の怪物

マーケットには、二匹の怪物が徘徊している。

二匹の怪物はマーケットを荒らしまわり、私たち弱者から奪えるものを力ずくで奪い取っていく。

 

一匹目の怪物はヘッジファンド、二匹目の怪物はシステムトレードという名前だ。

二匹の怪物を産み落としたのは、何の事はない、マーケットに痛めつけられた投資家たちの恐怖心である。ヘッジファンドシステムトレードも実在するが、怪物ではない。それでも彼らには怪物が見え、あるいはその気配を感じて、震えている。まるでお化けを怖がる子供のように。

 

ジョージ・ソロスが投機的な手法でイングランド銀行を打ち負かした?それは違う。イングランド銀行を打ち負かしたのはドイツ連銀であり、ポンドとマルクの金利差である。賢明かつ大胆なソロスはそれに乗じただけだ。仮にソロスがドイツマルクをショートしていたら、大損を被っていただろう。ヘッジファンドに経済をコントロールする力はない。

システムトレードによる大量の短期売買が相場を操作している?それも違う。彼らは基本的に相場の小さな波を刈り取っているのであって、相場水準を操作しているわけではない。フラッシュトレードが何かの文で相場を大きく下落させたことは過去にあった。でもそれは彼ら自身にさえ想定外の事故であって、彼らが相場をコントロールできていないことの証拠でもある。

 

ヘッジファンドシステムトレードのあちら側にいるのは、こちら側と同じく1人の不完全な人間でしかない。

想像してみよう。彼は朝6時過ぎに起床し、シャワーを浴びて髭を剃り、朝食はコーヒーとパンで済ませる。マーケットが開く前に出社して、スマートフォンで朝刊を読み、情報端末をいじくりながら少々の緊張感とともにオープニングを待つ。時間が来てトレードを開始する。何たる偶然、彼のトレードと私のトレードが出会う。マーケットがクローズするまでに、彼か私のどちらかが利益を手にし、どちらかが損をしている。可能性は半々だ。勝った日は気分がよく、負けた日は気分が悪い。でも一喜一憂してはいけない。それではトレードの向上は望めないぞと自らを戒める。いずれにしても一杯やって家に帰る。野球中継か何かを見ながら妻の作った夕食を食べる。夫婦仲は悪くもないが良くもない。最近体重が増えているし、体力も随分落ちてしまった。健康診断の結果だって思わしくない。でも、誰だって年をとるし仕方がないじゃないかと考える。明日に備えて眠る。一日が終わる。

彼は私と同じ人間である。損を怖がり、自分が間違っているのではないかとしばしば不安にかられる、ただの不完全な人間だ。怪物ではないし、怖くもない。

怪物退治は済んだだろうか。