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グローバルマクロ投資にうってつけの日

株、債券、金利、通貨、コモディティに関する投資メモ

紆余曲折の世界経済

投資ポジション 米国経済

前回のポジションの振り返りから2週間近く経った。

今後の方針について改めて考えることにしよう。

 前回は金のポジションについて以下のように書いた。

金についてもこのあたりでひとまずの出口を決めておく。

金が2年以内に2,000ドルを超えることについてはいまだに自信があるが、思ったよりは紆余曲折がありそうだ。

前回に紆余曲折がある、と書いたのは、米国の政策金利長期金利、物価、景気の見通しに複数のシナリオがあるからだった。これを整理して整合的な見通しを立てることができていなかったし、今でもできてはいない。

とはいえ、少しずつ考えはまとまってきているので、それを明文化しておきたい。

|米国の政策金利

米国の景気が予測通りに減速したとしても、金融政策が利上げから利下げへと舵が切られるのは明らかな減速があってしばらくしてからである。

FOMCは多数決で判断が下されるが、中央銀行の政策決定者の過半数が、経済の減速を目にしてすぐに金融引き締めの方針を翻すとは考えられない。彼らはとても優秀な学者や実務家であって、我々とは違って間違えることに慣れていない。彼らは優秀であるからこそ、経済が減速してもそれを認めることができず、しばらくは利上げに固執するはずである。

 

|米国の経済

米国経済の見通しは変わっていない。米国の経済がこのまま回復するとは考えられない。たとえば以下の理由がある。

・景気回復過程は7年程続いており、景気循環を考えればいつ終わってもおかしくない、というよりもそろそろ終わらない方がおかしい

中央銀行金利を上げたがっており、金融政策のサポートはない

・世界経済は減速しており、世界経済の減速は輸出の減少を生み、輸出の減少はGDPの減少を生む

 

|米国の物価

上昇基調ではあるものの経済指標はまちまちで、今のところ私が心配していたほどに物価上昇の兆候は見られない。

 

|米国の長期金利

インフレ率を上回るスピードで利上げが実施されれば長期金利はやがて低下し、インフレ率の上昇が放置されれば長期金利は上昇し続ける。全てはインフレ率と政策金利に依存している。

 

|今後起こりうる4つのシナリオ

以上を踏まえれば、政策金利は景気が上昇すれば引き上げられ、景気が減速しても現状が維持される(利下げされない)ことになる。つまり、好景気+利上げか、不景気+金利維持のどちらかが起こるはずである。これに物価の動向が絡むからややこしいが、景気上昇と物価低下が同時に起こるわけはなく、景気減速と物価上昇が同時に起こる可能性はゼロとは言わないが無視しうるほどに小さい。

そうだとすると、起こりうるシナリオは以下の4パターンに限定される。

①物価上昇+好景気+利上げ

②物価維持+好景気+利上げ

③物価維持+景気減速+維持

④物価低下+景気減速+維持

 

シナリオに応じた主要な投資対象の中期的な値動きは次のとおり。

 

①物価上昇+好景気+利上げ

株価↑↑↓:上昇するが利上げが頭を押さえ(上方向の)レンジ相場

長期金利↑↑:金利と物価が同時に上がるため上昇する

ドル→:物価と利上げの上昇速度に依存するが、概ね横ばい

 

②物価維持+好景気+利上げ

株価↑↓:上昇するが利上げが頭を押さえ、レンジ相場

長期金利↑:政策金利が上がるため上昇する

ドル↑:物価は変わらずに金利が上昇するなら上がる

 

③物価維持+景気減速+維持

株価↓:景気の減速以外の変化がなく当然下がる

長期金利→↓:景気の減速が金利低下期待を生むが、概ね横ばい

ドル→:横ばい

 

④物価低下+景気減速+維持

株価↓↓:通常の景気減速の状態であり、下がる

長期金利↓:通常の景気減速の状態であり、下がる

ドル↑:通常の景気減速であり、~2010年の円と同様に上がる

 

|シナリオに応じたポジションの整理

投資対象ごとに上記の結果をまとめると次のようになり、ポジションの大まかな方針が決まる。

■株価

①株価↑↑↓:上昇するが利上げが頭を押さえ、(上方向の)レンジ相場

②株価↑↓:上昇するが利上げが頭を押さえ、レンジ相場

③株価↓:下がる

④株価↓↓:下がる
株は買うよりも売ったほうが良さそうだ。ダウ平均の売りポジションは強気に維持することにしよう。
 
長期金利↑↑:金利と物価が同時に上がるため上昇する 
長期金利↑:金利が上がるため上昇する
長期金利→↓:景気の減速が利回り低下期待を生むが、概ね横ばい
長期金利↓:下がる
しいて言うなら長期金利(債券)は売りだが、まちまちでなんとも言えない。ポジションをとっているわけではないから、よく分からなくてもひとまず問題ない。
 
■ドル
①ドル→:物価と利上げの上昇の度合いによるが、概ね横ばい
②ドル↑:上がる
③ドル→:横ばい
④ドル↑:上がる
私の直感に反する結果である。認めたくないが買ったほうがよさそうだということになる。というのも、金の価値はドルの価値に反比例するからだ。ドルが買いなら金は売ったほうが良さそうだということになる。どう考えたら良いのか?整理がつかない。
 

|金のポジションと投資方針

上記のシナリオからすると、どの場合でもうまくいく有望な投資は株のショート以外に見当たらないし、多くの場合には価格が上下するレンジ相場が見込まれる。それであれば、中長期的な投資を行うよりもレンジ相場を仮定して短期的なトレードを行ったほうが良さそうである。

そして困ったのは金のポジションの対処である。前回の記述をもう一度引用する。

金についてもこのあたりでひとまずの出口を決めておく。

金が2年以内に2,000ドルを超えることについてはいまだに自信があるが、思ったよりは紆余曲折がありそうだ。1,220ドルを下回ったら全ポジションを切ってわずかばかりの利益を確定させるか、1,050ドルまで価格が落ちたとしても安全に投資を継続できる程度に今すぐポジションサイズを削るかの二択である。

私は前者を選ぶ。大きなチャンスに小さな投資額で乗る気分には今のところなれない。

この時の1,220ドルというのは、トレンドフォロー型のシステムトレードに用いられるようなポジションの決済基準で計算したものだ。金価格は上昇しているため、現在の基準値は1250ドル付近まで切り上がってきている。そして、私の分析と直感は異なっている。
そこで、投資額を半分に分け、短期トレード用の資金を捻出することにした。つまり、片側は1265ドル(基準値+15ドル)で利益確定してしまい、もう片側は1235ドル(基準値-15ドル)で利益確定する。
これで金価格が下落した場合でも、当初のポジションのまま基準値で利益を確定させた場合と同額の利益を得ることができ、金価格がまっすぐに上昇した場合でも、残っている50%のポジションが慰めになるだろう。 
 
金の買いポジションの50%は利益を確定させた。しばらくはレンジ相場を想定した短期的なトレードを積極的に行うことにしよう。